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樹技の住家は、自然素材(無垢)の樹の中で暮す、をモチーフに、デザイン・材料・加工・金具を根本からコンセプトし直した、こだわりの、本物の本格的な真壁・木造の木組みの中で育った技術の建物です。
黄金比率(名詞の縦・横のサイズ)の寸法に以前から興味があり、何かに生かせないかとか思案、たまたま、120年前の蔵扉の復元改修をしたこともあり、蔵扉に黄金比率を取り入れることに辿りつき、ケヤキ材を使った、オリジナル蔵扉を再現することにしました。制作は、いきなり図面を作成するのではなく、ラフ図を描き、それを素にCGでの蔵扉の再現を始め、扉寸法の縦・横の各部分の長さやパーツ割が決定され、そこで得られた基準比率により建物バランスの寸法を求めました。また、現代版の蔵扉ですのでペアガラスの使用や網戸のプランなども視野に入れCG作成し、それぞれを基に図案化し、熟練の建具屋さんの手により制作され、塗装も柿シブで仕上げています。また、それと、同じくして和民家全体のCG画像の作成に取り掛かり、金具の位置・透明画像・360度あらゆる角度からの立体画像を完成させました。
樹技の蔵の木材は、近くの山の榛名山の杣(高崎市倉渕産)の樹齢50年以上の杉材を伐採時期に合わせ伐採し、その山で約半年間、葉枯らし(自然乾燥)した後、丸太を山から下ろして、柱(130~330ミリ)や構造部材の梁(130~370ミリ)や、床板(35ミリ)・壁板(20ミリ)・天井材(20~35ミリ)に製材加工して、野積み天然乾燥を約4ヶ月させた後、部材寸法ごとに、モルダー加工(木材表面削り)し、製品を㍉単位に加工管理した木材を使用しています。
木材製品は㍉単位に削り加工されているため、削り加工は致しません。加工木材の角は傷付きやすくデリケートのため面取りを行い、その後、墨付け(加工するためのマークや寸法取の基準線入れ)は、エンピツで行います。その基線に従い木材を手加工します。丸ノコ・角ノミ・ドリル等の電動工具と手鑿・手鋸を使いこなし加工を施します。また、アフタイトを入れ込む穴は、当社オリジナルの専用穴開け加工機を使い芯ズレの少ない360㍉の深い穴開けを可能にして、仕口の加工も単純化し、簡素で組立易く出来ています。
一般の金具類は木組みには適していません。なぜならば、市販金物は材料(木材)表面に取り付けるよう設計されていて、木材内部に埋め込むような隠す工夫はされていないからです。仮に、その表面の金具をカマボコ板状の木材で覆い隠しても、木材表面は金物を隠した板のため凹凸になりスッキリするどころか、異物が付いているように見え、住家の木組みの美しさを生かせません。しかも、表面メッキも錆まで70時間の企画品のため、木材の含水率いかんで簡単に錆びてしまします。また、引き抜き強度も高く設計されていませんし、隠すため後締め直しも出来ません。座金等の穴の切欠部分は、埋めても欠損した箇所は元の材料強度には戻りませんし、失敗した所に埋め木をしてごまかしたみたいに見えます。いまだに多い、金具がむき出しでも、気にしない設計事務所や工務店もいますが、プロの意匠センスを疑れます。そんな数々のその場しのぎのごまかしを止め、手間をかけずにスッキリと綺麗に収める技術を木組みに生かす力に変えたものがアフタイトです。
柱・梁等の構造木材は、二つの役目を持っています。組まれた時に離れないようにと、荷重に耐え支えることです。一般には、組まれると離れない複雑な仕掛けが木材には、加工されています。しかし、加工部は引抜き耐力が乏しいため、金物を通し補強しているのが現状です。もし、金物に耐力があるならば、しかも、木材の中心部に金物が取り付けられれば変形しにくくなるはずですし、木組みの複雑な仕掛けも不要になるはずです。アフタイトは、加工部の構造解析の結果、木組み木材から二つの役目を切り離し、離れる引抜きをアフタイトが負担することにより木材の、欠損部位を減らすことで荷重量を増すことを可能にし、加工部分も単純化できました。アフタイトは、締め直しも出来ますが、分解も簡単に行なえ、数百年かの後の建物解体時にも、柱・梁を切断することなく取り外せ、木材のリユース・リサイクルにも生かせるよう工夫されていて、何世代か後も経済的です。樹技の住家は、全てを見せるように、木組みが損なわれないように工夫されていて、金具使用量は約200を超えていますが、使用存在感がまったくなく、ごく自然です。また、重要な場所には勿論ですが、金具の不必要な箇所にも使用し、金具の違和感の無いところや、一般金物の問題点などと比較し金物のあり方や考え方をもう一度検証していただきたくなるような、意匠に出来上がっています。
※無垢材をきれいに繋ぐ継手色々
平金物を打たずにきれいに繋ぐことができます。